圧力計が示す異常の原因と対策:ポンプトラブルを未然に防ぐ!
ビルメンテナンスにおいて、ポンプの正常な稼働を維持することは非常に重要です。そのための一つの手段が「圧力計」を使った異常監視です。圧力計は、ポンプの吸込み側と吐出側の圧力を数値で表示し、異常の兆候をいち早く発見する手助けをしてくれる重要な機器です。今回は、圧力計の数値異常が示す原因や、それに対する具体的な対策について詳しく解説します。
1. 圧力計が異常を示す理由とは?
まず、圧力計の数値が基準値を逸脱している場合、その原因として考えられる代表的な要因をいくつか見ていきましょう。
- エア噛み
ポンプが吸い上げる水に空気が混入してしまうと、「エア噛み」が発生し、圧力が基準値よりも低下します。この状態ではポンプの吸込側に気泡が生じ、正常に水をくみ上げられなくなります。
- ストレーナーの詰まり
ポンプの前段にあるストレーナーがゴミや異物で詰まってしまうと、吸込み側の圧力が下がります。この詰まりによって水の流れが制限され、圧力計にも異常が表示されます。
- ポンプの過負荷
吐出側の圧力が異常に高い場合、ポンプが過負荷状態になっている可能性があります。過剰な負荷はモーターの異常加熱や電流値の増加を引き起こし、最悪の場合、ポンプの故障に繋がることもあります。
2. 圧力計が基準値以下の場合の対策
圧力計の数値が基準値より低い場合は、エア噛みやストレーナーの詰まりが主な原因として考えられます。以下の対策で問題を解消しましょう。
- エア噛みの解消法
吸込み側のエア抜きバルブを開けて、配管内の空気を排出します。バルブを操作して一定時間水を流すことで、圧力が基準値に戻るケースが多いです。この作業を定期的に行うことで、エア噛みの再発を防ぎやすくなります。
- ストレーナーの清掃
ストレーナーが詰まっている場合は、一度ポンプを停止し、ストレーナーの清掃を行います。ゴミや異物を取り除くことで、水の流れが正常になり、圧力計の数値も基準値に戻ります。
3. 圧力計が基準値以上の場合の対策
逆に、圧力計の数値が基準値を上回っている場合は、ポンプが過剰な力で稼働している可能性があります。この場合も適切な対策を行いましょう。
- 電流値の確認
ポンプが過負荷状態にあると、モーターに異常な電流が流れることがあるため、電流計で電流値を確認します。電流が高すぎる場合、ポンプの運転を一旦停止し、原因を調査・修正することが推奨されます。
- バルブの調整
吐出側のバルブを調整することで、流量をコントロールし、圧力の調整が可能です。バルブの開閉具合を調整するだけで、ポンプの負荷を適正な範囲に抑えられることがあります。
4. 圧力計の故障も疑う
圧力計自体が故障している場合もあります。特に、圧力計の針が常に同じ位置にある、あるいは極端な動作をしている場合には、圧力計そのものの異常を疑いましょう。
- 圧力計の点検・交換
圧力計の内部には「ブルドン管」と呼ばれるパーツが使われており、これが変形することで針が動きます。ブルドン管の変形や摩耗が進むと、圧力計が正しい値を示さなくなります。そのため、定期的な点検や交換が必要です。
5. 日常巡回でのポイント
日常巡回では、圧力計の指針をただ確認するだけでなく、その数値の変動にも目を向けることが大切です。日々の基準値と比較し、わずかな異常も見逃さないようにすると、早期にトラブルを発見できます。
まとめ
圧力計の異常な数値は、ポンプやその周辺機器の問題を知らせる大切なサインです。エア噛みやストレーナーの詰まり、あるいは過負荷の発生など、さまざまな原因が考えられますが、適切な対策を行うことで未然にトラブルを防げます。日頃から圧力計の値を確認し、異常があれば即座に対応できるようにしておきましょう。圧力計の正確な確認が、ビル設備の安定した運用を支える第一歩です。